みんからきりまで

きりみんです。

#技術書典 6でフリーランス本などを出して579部売れた話と電子版が売れ続けてる話と振り返り【技術書典感想戦:まとめ編】

煽りタイトル失礼します。
技術書典6に参加した振り返りです。

2019/4/14に開催された技術書典6にサークル側として参加したので、そのレポートと振り返りエントリです。
今回はかなり張り切って取り組んだので、ひとつずつ振り返っていきたいと思います。

書いた本の内容はこちらをご覧ください。 kirimin.hatenablog.com

当日まで

技術書典にサークル参加するのは前回に続き2回目だったのですが、前回は体調が悪い時期と重なってしまったことなどがあり、あまり内容のない電子本を100円で配布するのがやっとでした。
結構つらい経験だったので、今回はサークル参加は見送ろうかと思っていたのですが、たしか誰かに「フリーランスについて書いたら?」と言われた事をきっかけに「その内容なら書けそうだし書きたい!」と一気に気持ちが高まって、勢いで申し込みました。

しばらくして当選のお知らせを受け取ったことで、本格的に執筆に取り組むことになりました。
この時点でフリーランスの本を出すことは決まっていて、余力があればきりみんちゃんのファンブックも出したいという温度感でした。

執筆

フリーランスを完全に理解できる本

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フリーランス本の執筆にはRe:VIEWを使用しました。
Re:VIEWは環境構築のハードルが結構高くエンジニアでもなかなかビルドが通らないのですが、その辺りは前回参加時に環境構築を済ませていたので困りませんでした。
テンプレートにRe:View Starterというサービスを利用させていただきました。

Re:VIEW記法をググりながらブログを書くノリで粛々と書いていきました。
かなり執筆に苦しんだ前回とは違い、今回は書きたいことが明確だったため、実質的には数日で一気に書き上げました。
若干煽り気味なタイトルもわりと一瞬でエイヤと決めてしまいました。

執筆後、@mego_さんと@misadroidさんにレビューをしていただきました。
それぞれ、誤字脱字や内容について多数のツッコミをいただき大変感謝しております。

きりみんちゃん公式ファンブック

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早めにフリーランス本を書き終わったので、新刊二冊目のきりみんちゃんファンブックに取り組み始めました。
こちらはPhotoShopで作った。
フリーランス本と違って内容がそれほど定まっていなかったので、こちらの方が悩んだ。
フルカラーの同人誌というのも初めての経験だったし、VTuberの公式ファンブックというものにどういう内容が含まれていれば喜んでもらえるのかを考えるのも結構むずかしかったです。
しかし結果的にはこちらも2週間程度で完成させ、無事、印刷所の最速早割に間に合うスケジュールに収めることができました。

入稿

入稿についてはイベント前にエントリを書いているので、そちらに詳しく書かれています。

kirimin.hatenablog.com

早割40%OFF+現金還元5%OFFでかなり安く入稿することができました。
早期入稿は正義!

被チェック数と宣伝

今回は事前の宣伝も結構がんばりました。
同人界隈には本を売るのではなく「配布する」と表現する文化があるように、あまり過剰に自分の本を宣伝することは美しくないというような意識が一部にはあるようです。
これは元々同人誌というのが二次創作ジャンルが強く、あくまで内輪コミュニティ内での行為であるという建前などが関係していたりもするのかと思っていますが、技術書典、特に自分の本に関しては完全に1次創作であり、また内容にも価値があると信じていたので、積極的に宣伝をしていくことにしました。

ブログと告知

まずはサークル一覧が一般公開されたタイミングでブログにて本の内容を紹介しました。

お品書きや目次などの画像を載せたこのツイートとエントリは非常に効果があり、最終的にインプレッション 67,879、メディアのエンゲージメント 1,845、リンクのクリック数 509という結果でした。 ブログエントリ自体のPVは5,688でした。

入稿体験についてのエントリを書いたり、pixiv PAYについてのエントリを書いたりしたのも、単純に状況共有やお知らせという意図がメインですが、宣伝の側面もそれなりにありました。

Twitterでも #技術書典 タグを積極的に使い、被チェック数や準備について積極的にツイートしていました。

被チェック数

被チェック数を毎日ツイートで報告することについては賛否あるようで、大衆受けを煽ったり被チェック数の少ないサークルへのマウントになるのではというような懸念もあり、そもそもチェック機能はユーザーが利用するものなのでサークル側が一喜一憂するべきではないというような意見も見られました。

しかし、自分自身が今回入稿数を決めたり実売数を予測するのに前回までの技術書典での被チェック数推移を公開し、それをまとめてくれている人達の情報が非常に役に立ったということや、単純にこういう情報は多くの人がオープンにしてくれていた方が個人的には様々な判断がしやすいということもあり、個人的には悪いことではないかなと思って続けました。

実際の被チェック数の推移は以下のようになりました。

https://i.gyazo.com/3a08fde32eab41ef415c77043e7e540e.png

被チェック数は入稿した3/23の時点で87、この数字から最終的な実売数を予測するのはかなり難しいですが、前回までの参加者の公開してくれていた被チェック数の推移傾向や実売数の情報を参考にして予測を立てました。
その結果、「フリーランスを完全に理解できる本」を800部、「きりみんちゃん公式ファンブック」を100部入稿することに決めました。
当時の被チェック数からはかなり乖離した数字なので、情報が何もなければ多分200部くらいにしていたと思います。
とはいえ800部はさすがにやりすぎたと思い、翌日からずっと「600部にしておけばよかった...」と思い続け誰にも部数を明かせない日々を過ごしました。

被チェック数は順調に伸び続けましたが、かなり早いタイミングで積極的に宣伝をして需要を前借りしてしまったせいか、予測よりは伸びるペースは若干少なかったです。
しかしやはり最後の数日の伸びはすごく、かなり脳汁がでました。

当日の様子

https://i.gyazo.com/611c6f90e6e5a86b21c9d0dc5203f593.jpg

https://i.gyazo.com/e23fc2b15075de0b2fcbb7d0f8938c52.jpg

(当日のフル設営状態の写真を撮り逃した...)

当日は@mego_さんに売り子をお願いしていたのですが、自分の部数への認識が甘く、「おそらく一番混む最初の1,2時間だけ手伝ってもらえれば大丈夫です!」という感じで頼んでいました。
前日くらいになり「被チェック数が200部以上なら最後尾札を作った方がいい」という文章を読んで「あれ、これヤバいのでは?」と気付き慌てて最後尾札と列途中札を作りました。

当日は9:40頃に会場入りし、設営を始めました。前回は本を雑に置くだけでしたが、今回は色々用意していたこともあり結構設営も大変で、しかも途中で運営の方から「行列のリスクがあるサークルさんに声をかけて回っているのですが、机の上の展示をすべて下ろしてもらって常に二人並列態勢で売り子をしてください。もし列が爆発しそうだったらすぐに運営を呼んでください」と言われ、一体何がはじまるんです?という気持ちでした。

指示どおり一旦展示などは椅子の後ろに置き、本だけを平積みした状態で開会を迎えました。
結果的には今回の技術書典では午前有料化や入場制限がかなり適切に運用されていたらしいことと、弊サークルの場所が入り口からかなり人の流れがない場所だったこともあり、実際に最後尾札を使う機会はありませんでした。
一般入場が始まった13時ごろから「この感じだったら展示やポスターなどでもっとアピールしないと厳しいな」と気付き、設営をし直しポスターを掲げて積極的に存在をアピールし始めました。
行列が出来るまではいかないものの、常に一定数の人が買ってくれるという状況が続いたため、閉会ギリギリまで一冊でも多く売るためにスペースを離れることが出来ず、結局売り子の@mego_さんには閉会までずっと一緒に売り子をして頂いてしまいました。本当にありがとうございます。すみませんでした...。

250冊(ダンボール一箱分)ほど在庫が残ってしまったので、会場からBOOTHの倉庫に直送していただきました。

閉会時には心身ともに疲れ切っており、売り切ることが出来なかったという多少の悔しさもあり、フラフラと帰路につきました。
しかし、少し落ち着いたら売り切れなかった悔しさよりもたくさん買ってもらったり声を掛けてもらった嬉しさや達成感などが湧いてきました。
当日本を買ってくれた方、挨拶をしてくれた方、きりみんちゃん本も買ってくれた方、本当にありがとうございました!!

pixiv PAYによる前払い取り置き

今回、pixiv PAYによる取り置きのサービスを行いました。詳細は別エントリに書いていますが、技術書典らしい面白い試みが出来たかなと思っています。

kirimin.hatenablog.com

売れた数

雑に数えた速報値なので多少誤差があるかもしれませんが、最終的な当日販売数と利益は以下のようになりました。

https://i.gyazo.com/d5dc525cb3ad2d1a359b7481a956d8b0.png

フリーランス本は図やコードなどがない純粋な文章だけの本ということもありページ数が少なかったので、印刷単価も安めで、収支はかなりプラスになりました。
きりみんちゃん本の方はフルカラー+少部数なので単価が高かったのですが、1000円という技術書典物価を反映させた価格にさせて頂いたこともあり、こちらも黒字でした。

今回サークル参加して学んだ一番のことは、コミケなどでフルカラーの創作イラスト本を500円(コミケ相場ではイラスト本は500円が多い)で配布しているサークルはおそらくほぼ赤字で配布してくれているのだなぁという事でした。
個人的には好きな絵師様のイラスト本であれば1000円でも買いますが、ありがたいことだなぁと思いました。
もっと多くの1次創作系サークルさんがBOOTHで電子版を配布してくれれば、販売価格がほぼそのまま利益になるし、イベントに参加しなくても気軽に購入することが出来るので嬉しいなぁと個人的には思っています。

BOOTHによる電子版の販売

当日の夜からBOOTHでフリーランス本の電子版を販売し始めました。
公開から24時間で100部以上売れて驚きました。
4/20 19:00現在で182部も購入いただいています。
もちろん技術書典というリアルイベントがあってこそ電子版を買ってもらえるのですが、イベントに行ったり紙の本を送ったりしなくても同人誌を配布したくさんの人に読んでもらい、利益が得られるというのは素晴らしい世の中になったなぁと感慨深いです。

評判

もちろん期待はずれだった同人誌についてわざわざ言及する辛辣な人はあまりいないという前提はありつつ、たくさんの好評の声をもらい、とても嬉しいです。

togetter.com

正直、いつもブログを書いているようなノリでページ数もそれほど多くなく、技術的に専門的な内容というわけでもない本書に満足して貰えるのか不安な気持ちもあったのですが、レビューは本当に励みになります。
とはいえやはりエンジニアとして技術以外の情報発信ばかりをしているのもアレなので、もっと技術的なアウトプットもしていかないとなぁという気持ちもあります。

KPT

最後に今回のKPTを書いて締めようとおもいます。

Keep

  • 自分が伝えたいと思った情報を本にして多くの人に読んでもらうことが出来た
  • 最速早割で入稿することが出来た
  • 新刊を2冊も出すことが出来た
  • 早期に売り切れという事態を回避した
  • 内容について高評価をもらえた
  • 大きな失敗や事故などを起こさなかった
  • pixiv PAYによる前置きという決済オタクとしてのチャレンジに成功した

Problem

  • フリーランス本にいくつかTypoがあった
  • きりみんちゃん本に大きな誤植があった(「きりのんの名前が鮭乃きりみ」になっている)
  • きりみんちゃん本に描き下ろしのイラストなどをあまり盛り込めなかった
  • 入稿時に色々トラブった
  • いろいろ準備していたつもりだったけど、他のサークルを見るともっとスペース作りに力を入れてもよかった
  • フリーランス本の表紙はもっと凝ればよかった。ちゃんと描き下ろしのイラストで表紙をデザインしてキャッチーかつ内容が伝わる表紙に出来ればもっと手にとって貰えたかもしれない
  • これだけ集客できるならイベント用にきりみんちゃんグッズをちゃんと作ってちゃんと配布すればよかった
  • フリーランス本の販売部数を完全に読みきれなかった。600部でもよかった
  • 当日のオペレーションの負荷を甘く見ていた。売り子は午前と午後で二人にお願いした方がよかったし申し訳なかった

Try

  • 入稿前にもっとよく内容を精査、確認する
  • 他の人気の本を参考に表紙デザインにもっと時間をかける
  • 他のサークルやネットの情報を研究してスペース作りをもっと工夫する
  • 次は出来れば技術的な内容の本を出す
  • 売り子をちゃんと依頼する

宣伝

BOOTHにて電子版を販売中です。
物理本は入荷までにもう少し時間がかかるそうなので、紙の本がほしい方はしばらくお待ちいただけたら幸いです。
(とらのあなさんの方に送った方は即日販売が開始されたらしいので、そちらに送ればよかったと少し思っている。。。)

BOOTHではきりみんちゃんグッズも販売しているのでよかったら買ってね!

kirimin-chan.booth.pm

きりみんちゃんねるもよろしくね。

www.youtube.com

技術書典(同人即売会)でpixiv PAYを利用した前払い取り置きシステムを用意したらとても良かった話【技術書典感想戦:決済編】

昨日は技術書典でした。
閉会ギリギリまで全力で売り子をしていたので、全身筋肉痛です。
技術書典サークル参加についてのまとめは改めて書く予定ですが、とりあえず決済の話だけ切り離して記事にしたいと思ったので書きます。

pixiv PAYを利用した取り置きを試してみました

kirimin.hatenablog.com

詳しい内容は上記のエントリを見てほしいのですが、ざっくりいうと、pixiv PAYという同人イベント向けのQR決済サービスを利用して事前に決済を済ましてもらうことで、取り置き分として当日は受け取るだけで済むようにしてみたという感じです。

pixiv PAYは本来イベントでの対面決済に利用されることを想定されたサービスですが、最近は静的なQRコードに対応し、サークル側が都度アプリでQRコードを表示させなくても決済ができるようになっています。
pixiv PAYであれば取り置き依頼だけではなく、同時に代金の前払いが可能なため、「取り置きをお願いしていたけど実際には買いにこなかった」といったリスクを回避することができます。
また、当日はその場で決済を行う必要がなく、購入済み画面を見せてもらうだけで済むため支払いのフローが発生せず、サークル側としては事前に購入された冊数を分けておくだけで済みオペレーション的にも、楽になる可能性があります。
そうなると取り置きの負担やリスクがあまりなくなるため、対象を親しい人などに限定する必要もなくなります。

また、今回自分の場合はすでに入稿を済ませており発行部数を決めてしまっていますが、発行部数の少なく利益率も低いカラーイラスト本などを配布するサークルの場合は入稿前にある程度需要を知ることも出来るかもしれません。
何より、どうしても本が欲しいというファンの人に確実かつ優先的に購入してもらうことができます。

どのくらい利用されたか

最終的に52点の前払いをしていただきました。
被チェック数が500程度だったことを考えると、1割近い数を事前決済で買ってもらったことになります。
公式ブログによると被チェック者の中で実際に購入する方は3割ほどだという調査結果があるので、興味を持ってくれたタイミングで確実に購入してくれる前払いが1割というのはなかなかの数字かなと思いました。

https://i.gyazo.com/335f8d71698f1d97fdf8c3f61405fac6.png

https://i.gyazo.com/89d1fad567a85ac8c99db6ac6d0acf02.png

pixiv PAYのアプリではこのように商品ごとの決済数も簡単に参照できるので、集計は便利でした。

当日のオペレーションがどうだったか

取り置きの受付は前日(当日の早朝)までで締め切り、当日はオペレーションの混乱を避けるために対面でのpixiv PAY決済は導入しませんでした。

開会前に取り置き分の52点を別の箱に分け、取り置きの場合はそちらからお渡しすることでうっかり取り置き分を売り切ってしまうことを予防しました。

スペースでpixiv PAYの購入履歴画面を見せてくれた方にはノータイムで本をお渡しする運用をしました。
同じ人が何度も受け取りに来て窃取されてしまうというリスクはあったものの、pixiv PAYに現状簡単に個人を識別できるような機能が実装されていないこともあり、性善説での運用でした。

とにかくスムーズだった取り置きの受け渡し

取り置きの人の場合は、スマホの画面をチラッと見せてもらったらすぐに本が渡せるので、非常にオペレーションが高速でした。

今回は「現金払い」「かんたん後払い」「取り置き」の3つの決済方法を用意したのですが、体感では決済の速度は

取り置き>現金>後払い

という印象でした。
後払いはとても便利ですが、やはりQR決済に共通する課題として、QRコードを読み取って貰って購入してもらうというフローにどうしても多少時間がかかってしまうという難点があります。

QR決済界隈で長く仕事をしている身としてはこの課題はずっと感じていて、何かしらのソリューションが必要だなぁと思っています。
かんたん後払いに関しては運営から配布してもらったスタンドのQRのみで運用していたのですが、QR読み取りの順番待ちが発生したりしていました。
改善案としては、複数のQRコードスタンドを用意したり、ポスターなど遠くからでも読み取れる位置にQRコードを印刷し、複数人が同時にQRを読み取れるようにすればよかったと思いました。

少し話がそれますが、これ自体は前々から考えていたことで、コミケの企業ブースや大手サークルでQRコード決済を採用するのであれば、普通の対面決済では絶対に現金払い(事前に用意したお札を手渡す)にスピードで敵わないという問題があります。
しかし、例えば待機列にQRコードを配布したり遠くからでも撮影できる場所にQRコードを表示するなどして並んでいる間に決済が完了できるようにしたらどうでしょうか。
この場合は対面では購入完了画面を見せるだけで済むため、現金と同じかそれ以上のオペレーションスピードを実現できます。

総括

今回はかなり試験的な試みで、pixiv PAY自体も本来対面で決済することしか想定されていないはずのサービスなので、うまくいくのか、怒られたりしないのかと不安な面もありましたが、結果的には試みは大成功だったと言えます。
ご協力いただいた方、ありがとうございました!

この前払いによる取り置き予約システムは現金主流の同人即売会に新しい仕組みを提供出来るのではないかなという可能性をかんじました。

pixiv PAYで公式に前払いを想定した機能が追加されてくれたら大変べんりで、利用率もぐっとあがるのではないかなと思いました。

なお、pixiv PAYでは購入してくれた人にメッセージを送ったりする機能もあり、良いと思いました。

https://i.gyazo.com/e6ebfd1d8657ffb4c0e9f54582c9b29b.png

技術書典6で配布する本の前払い取り置きをpixiv PAYで試験的に実施するよ

本の詳細についてはこちらのエントリをごらんください。

kirimin.hatenablog.com

pixiv PAYを使った前払い取り置きをやります

pixiv PAYというサービスを使って、技術書典で配布する本の前払いかつ取り置き(予約販売)を行います。
事前に購入していただくことで、売り切れの心配なく確実に本を手に入れて頂くことができます。

どうしてやるの?

システム的に可能そうだったので、試してみたいというのが主な動機です。どこかから怒られたら中止します。

同人誌というのは需要を読むのが難しく、サークル側としては何部くらい刷ればいいのか分からず、出来るだけ売り切りたい気持ちもあり弱気な発行部数になりがちです。
一方、一般参加者側としては欲しい本が何時ごろに行けば確実に入手出来るのかが難しかったりします。
なにか事情があり早い時間に買いにいくのが難しい場合もありますが、目的の本はやはり手に入れたいものです。

そんな事情があり、予約購入(ついでにキャッシュレス決済)のような事が出来れば便利なのではと思いました。

一方、そんなことを考えてなんとなく同人イベントでの取り置きについて調べていたら、数年前に話題になり議論が盛り上がったことがあったようでした。

anond.hatelabo.jp

ググればいろいろなエントリが出てきますが、上のエントリによると、取り置き文化には以下のような問題があるようです。
・取り置きは善意で行われるが、手間が掛かってサークル側としては取り置き分を別にわけて相手のリストを作ったりと負担がある
・交流がある人に限って対応すると他の人からずるいと言われたり、人間関係的に面倒くさい
・もし取り置きをお願いしていた人が実際に買いに来なかったらその分が機会損失となってしまう

これらの問題はシステムである程度解決できるのではないかなと思ったので、せっかく自分がサークル側として同人イベントに参加する機会だし実際に試してみたいと思ったのです。

どうしてpixiv PAYなの?

同人誌の取り置き問題を扱ったサービスはいくつか存在するようでした。

トリオキニ

とらのあな KEEPER

しかし、いずれも見たところあくまで取り置きを管理出来るというサービスで、決済が行えるというものではなさそうでした。

そこで、pixiv PAYというサービス(アプリ)を思い出しました。
pixiv PAYは本来イベントでの対面決済に利用されることを想定されたサービスですが、最近は静的なQRコードに対応し、サークル側が都度アプリでQRコードを表示させなくても決済ができるようになっています。
pixiv PAYであれば取り置き依頼だけではなく、同時に代金の前払いが可能なため、「取り置きをお願いしていたけど実際には買いにこなかった」といったリスクを回避することができます。
また、当日はその場で決済を行う必要がなく、購入済み画面を見せてもらうだけで済むため支払いのフローが発生せず、サークル側としては事前に購入された冊数を分けておくだけで済みオペレーション的にも、楽になる可能性があります。
そうなると取り置きの負担やリスクがあまりなくなるため、対象を親しい人などに限定する必要もなくなります。

また、今回自分の場合はすでに入稿を済ませており発行部数を決めてしまっていますが、発行部数の少なく利益率も低いカラーイラスト本などを配布するサークルの場合は入稿前にある程度需要を知ることも出来るかもしれません。
何より、どうしても本が欲しいというファンの人に確実かつ優先的に購入してもらうことができます。

考えられる負担やリスク

本が売り切れても事前購入者が全員受け取りに来るまで撤収できない

即売会では早々に全ての配布物が売り切れてしまった場合は早めに撤収して帰ることがありますが、前払いした人がイベント終了時間直前まで来てくれなければ、撤収することができないということが想定されます。

当日のオペレーションが複雑化する

単純にその場で売り買いを行うだけに比べ、pixiv PAY対応というオペレーションが増えるため、売り子さんに手伝って貰う場合などに覚えてもらうことが増えることが想定されます。
今回は弊サークルでは当日の支払いにはpixiv PAY対応を行わないことで、「pixiv PAY = 前払い」とシンプルにすることで負担を軽減しようと考えています。

同じ人が何度も受け取りに来る万引き行為が発生する

これが考えた中で一番大きなリスクで、同じpixiv PAYの決済画面を利用して同じ人が何食わぬ顔で何度も本を受け取りにきて本を搾取されるという行為が発生する恐れがあります。
しかし、これは単なる転売行為なだけではなく窃盗行為であり、かつ販売側が同じ人物であることや同じ決済IDであるなど不審なことに気がついたら捕まえることが出来るため、技術書典の規模ではあまり起こる可能性は低いのではと考えています。
そもそもダウンロード販売も予定している小規模な技術本を複数冊入手するのは強い悪意を持った嫌がられくらいでしかあまり考えられないのではという気がしています。
転売が有効なコミケの大手サークルの委託もない限定本などであればリスクが高くなるかもしれません。

どうやって購入するの?

まず、pixiv PAYアプリをスマホにインストールしてください。

pay.pixiv.net

そして、以下に貼ってあるQRコードを読み取り、購入を行ってください。
サークル側では事前販売数を把握して取り置きしておくので、当日は受け取りの際にpixiv PAYアプリの購入履歴画面を提示して前払い済みであることを証明してください。本をお渡しします。

フリーランスを完全に理解できる本 購入用QR

公開を終了しました。

きりみんちゃん公式ファンブック 購入用QR

公開を終了しました。

やりたいこと

正直、今回自分は売り切れる可能性より爆死する可能性の方が高い部数をうっかり注文してしまったため、あまりこれをやる必要性はないのですが、身をもって検証して、もし有用な手段であればその知見を共有したり、pixiv PAYに前払い向けの機能(本人認証など)を導入してもらったり出来ればいいなぁとか思ったりしています。

完全に試験的な試みなので、うまくいかない可能性もありますし、次回以降は同じような事はやらない可能性もありますが、技術書典ですからこういう技術検証も面白いのではないでしょうか。

というわけで、本を確実にゲットしたい!という方は気軽に前払い取り置きを試してみてくれたら幸いです。

技術書典に向けて日光企画でpdfの技術同人誌とフルカラーのイラスト本を入稿した時の学びと反省の共有

関連エントリ

kirimin.hatenablog.com

4/14に開催される技術書典6に向けて日光企画で原稿を入稿してきました。
早々に原稿を完成させ余裕の早割で入稿準備に入ったはいいものの、同人誌の入稿というのが全然知らない世界で想像していたよりも難しかったので、知見を共有したいと思います。
特にpsdでの入稿に関する知見はあまり見当たらなかったので詳しめに書いていきます。

実際に本が出来上がったらまた反省点などが色々あるかもしれませんが、これから技術書典6の入稿を行う人もいるだろうかと思われるので、一旦いま時点で書きたいと思います。

日光企画では技術書典向けに特別の割引や搬入対応などのサービスを行っているので、ぼくも日光企画を印刷所に選択しました。

株式会社 日光企画

入稿した本

今回入稿した本は二種類で、1冊は一般的な(?)技術同人誌です。
Re:VIEWを使用して執筆しました。
表紙のみPhotoShopにて作成しています。 オフセット本です。

もう1冊はいわゆるイラスト本というやつで、全ページフルカラーの本です。
こちらはすべてPhotoShopにて作成しました。 オンデマンド平綴じ本です。

https://i.gyazo.com/41a3c32a4cae57fb082d3f74dfb2e40d.png

どちらもサイズはA5です。

事前に知った知識

入稿段階になってからWeb入稿でサクッと作業をしようと思ったら分からないことが多くて、ググったら以下の2つのエントリを見つけ大いに参考にさせていただきました。

blog.vtryo.me

jumpei-ikegami.hatenablog.com

それから流し読みしかしていなかったこちらの本を改めて見返しました。

技術同人誌を書こう!  アウトプットのススメ (技術書典シリーズ(NextPublishing))

技術同人誌を書こう! アウトプットのススメ (技術書典シリーズ(NextPublishing))

上のエントリ+本で知ったこと

詳しくはエントリと本を読んでほしいのですが、印刷素人には色々と罠がありました。

  • データのサイズ(容量ではなくA5やB5など意図した通りのフォーマットになっているか)に気をつける
  • 使用されているフォントがファイルに埋め込まれているかを確認する
  • 各ページにはノンブルという入稿用のページ番号の印字が必要
  • ページ数は表紙を含め4の倍数になっている必要がある

最初はWebから入稿しようと思っていたのですが、意外と不安要素が多いことがわかったので、日光企画御茶ノ水店に行って対面で入稿手続きをすることにしました。

対面での入稿

土曜日の昼に伺ったのですが、他にお客さんはあまりおらず、とても丁寧にじっくりと対応していただきました。

データフォーマット

日光企画の入稿用フォーマットは公式サイトからダウンロードすることができます。

【トンボダウンロード】オフセット用

また、技術書典特典でA2のポスターを無料で1枚印刷が出来たので、そちらのデータも作成したのですが、こちらはテンプレートなどは見当たらなかったのでフォーマットの通りのサイズのpsdファイルを作成したのですが、問題なさそうでした。

大判ポスター

表紙データ作成

以下のように表紙用フォーマットデータにレイヤーを追加する形で作成しました。
| トンボ削除不可 | 入稿データ | 背景 | というレイヤー構成になっていれば問題ないようです。
入稿データのレイヤーは1枚に統合しておきましょう。

https://i.gyazo.com/8149de0a55ec457f51dcbaa4c48088e8.png

なお、後述しますがこの表紙データにはかなり問題があります。

本文データ作成(イラスト本)

本文データも表紙と同じようにフォーマットのデータを使用します。

https://i.gyazo.com/2c47f319130d04b4d336a3a550ac72da.png

本文データは外側の水色の枠線まで入稿データの画像がないと切れてしまうらしいです。
基本的に大きくはみ出すように入稿データのレイヤーを置くようにすれば問題なさそう。
ただし、内側の水色の枠線のギリギリまで文字などを配置すると今度はそちらが見切れてしまうらしく、余裕をもって余白を入れた方がいいようです。

持ち込んだデータ

USBメモリに以下のようにデータを入れて持っていきました。

https://i.gyazo.com/3a77fe6863339ef97d3bd738dd70d186.png

データは人間が手作業で確認するため、細かい命名規約などはなく、解るようになっていれば良いようでした。ただし、余計なファイル(投稿用にpng化したデータやおしながきの画像データ)が含まれていると担当者を混乱させてしまうので、気をつけましょう。(反省点)

やらかしたミス

いろいろとミスをやらかしてしまったのですが、店頭では丁寧に対応して頂き、なんとか無事入稿することができました。

表紙のデータが裏表逆(右綴じ)になっている

二冊の本はどちらも左綴じの想定だったのですが、作成した表紙データの左右が逆で、表紙と裏表紙が逆になってしまっていました。
どうしようかと思っていたら、担当の方がその場でカウンターのPCをでPhotoShopを使い器用に左右を入れ替えてくれました。
有り難し。。。

表紙のデータのサイズが間違っている

表紙データのフォーマットは様々な本の厚みに対応するようになっていて、中央の部分が本の厚みに応じて背表紙になるということは理解していたのですが、両端の枠も最大の厚みまで対応したフォーマットになっているので、本が薄いとその分両端が見切れてしまうと指摘をいただきました。
こちらもどうしようかとオロオロしていると、担当の方がデータを加工して見切れないように縮小調整してくれました。
本当にお手数をおかけしてしまい頭があがりません。神対応。。。

PSDデータにノンブル(入稿用ページ番号)が振られていない

PDFデータにノンブルが必要なのは事前リサーチしていたのですが、フルカラー本のPSDデータの方にも必要だということを失念していました。
こちらはPhotoShopがインストールされたMBPを持参していたので、その場で他の確認作業などをして貰っている間に急いで全ページにノンブルを追加する編集作業を行いました。

PSDデータの解像度が高すぎる

フルカラーデータの解像度は350dpiが望ましいらしいのですが、実際には600dpi程度になっていたようです。
こちらはおそらく問題ないということでそのまま修正せずに入稿させていただきましたが、350dpiにするのがやはり望ましかったでしょう。。。

PDFデータのノンブルの位置が間違っている

ノンブルが目立たないようにするには、左綴じの場合は1ページ目(表紙を含めると3ページ目)のノンブルが左側、2ページ目のノンブルが右側というようになっていなければならなかったのですが、見事に逆になっていました。
こちらもその場で自分のMBPでiLovePDFを使用してノンブル付きPDFを作成し直しました。

iLovePDF | PDFファンのためのオンラインツール

持参したUSBメモリが読み取り専用になっていた

エンジニアとは思えない情弱っぷりで恥ずかしいのですが、このために買って当日の朝に届いたUSBメモリWindowsで入稿データを入れ持参したのですが、上記のトラブルでデータを修正しようとしたらMacからは読み取り専用になっていて、権限の変更も上手くできず右往左往してしまいました。
結局、担当の方の使用しているUSBメモリを貸して頂き、そちらを使用してデータの受け渡しを行いました。

pixivプレミアム会員の5%割引を言い忘れた

pixivのプレミアム会員であれば各種割引から更に5%割引を利用出来るらしかったのですが、そこまで頭がまわらず利用できませんでした。

Pixiv×日光企画提携サービス

まとめ これをやっておけ

  • はじめての同人誌入稿の場合は出来るだけ店舗へ行き対面で入稿する。知識がないと正しく選択できない項目も多いし、多分不備があって電話などリモートなどで何度も確認や修正の作業をするよりも楽だし早いです。
  • 入稿データと作業環境の入ったノートPCは持参した方がいい。その場で修正が出来るので。
  • スマホテザリングできる状態にしておいた方がいい。その場で修正が出来るので。
  • USBメモリは持参するノートPCで読み書きが出来る状態か事前に確認する。
  • USBメモリの中に余計なデータを入れないように注意する。
  • ページ数やサークルのスペース位置など記入が必要な情報をメモしておく。
  • 基本現金払い受付で現金割引もあるので想定されるくらいの料金の札束を引き出しておく。

日光企画さまについて

本当に神対応をしていただきました。
色々とお手数をおかけして申し訳ないです。
技術書典のバックアップ印刷所だと、特別割引などがあるだけでなく、「あ、技術書典ですね」とすぐに話が通り搬入情報などをおまかせ出来るので、とても楽でした。

同人誌の印刷入稿というのも色々とノウハウがあってやってみると勉強になるなぁとしみじみ思いました。

そんな弊サークル「きりみんちゃんねる」はこちらになりますので、ぜひ買いに来てください!

techbookfest.org

追記

クリスタを使っていると楽らしいです。

技術書典6で「フリーランスを完全に理解できる本」を配布します

4/14に開催される技術書典6 スペース"け74"にてサークル「きりみんちゃんねる」として「フリーランスを完全に理解できる本」というタイトルの本を配布します。

techbookfest.org

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内容

筆者が7年ほどフリーランスのエンジニアをやってきた経験を元に、フリーランスのエンジニアとして働く上での基礎知識や知見などを解説した本です。

最近はフリーのエンジニアも増えてきている印象がありますが、ネットなどでの言説を見ているとその実態はあまり理解されていない印象があり、また現場でも「フリーの人ってどういう契約なんですか?」と聞かれたりもします。

そこで、フリーランス(主に業務委託)の働き方や契約内容、単価の相場や税金や経費、確定申告などについて幅広く解説する一冊になっています。

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購入者にはpdf版のダウンロードURLも提供します。

どんな人に読んでほしいか

フリーランスに興味があるエンジニアの方や、副業を始めた(始めたい)エンジニアの方を主な対象読者としています。 しかし、個人的には同じ職場にフリーランスのエンジニアがいる方や業務委託のエンジニアについてよく知らないという普通の正社員の方にも読んでみてほしいなと思っています。
また、エンジニア以外の方でも、デザイナーやイラストレーターなど業務委託や請負契約でのお仕事をされる事の多い他の職種の方にも興味深く読んでもらえる内容だと思っています。

想い

今回の本はかなり濃い内容になったと自負していて、商業も含めあまり他にはない価値のある情報が詰まった本になったと思っています。 前回の技術書典では体調があまりよくなかった事もあって満足の出来る内容に出来なかった後悔があり、今回はリベンジのつもりです。

当日はそれなりの冊数を用意する予定なので、当日午前中には来れないという方もぜひゆっくり買いに来て欲しいです。

きりみんちゃんファンブック

なお、当日は同時に「きりみんちゃん公式ファンブック」という本も配布予定です。
こちらはVTuberとして活躍するバーチャル幼女プログラマーきりみんちゃんのフルカラー公式ファンブックとなっています。
こちらもVTuberの公式本としてどういう内容にすれば楽しんでもらえるかを考えて、頑張って作ったのでぜひ買ってもらえるとうれしいです。

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おしながき。

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ある程度需要を事前に把握できるとありがたいので、買いたいと思っている方は公式カタログのサークルチェックに登録してくれるとうれしいです。

追記

こちらから通販にて購入できます。

kirimin-chan.booth.pm