みんからきりまで

きりみんです。

三十路から眺める人生地図

とうとうこの時が来てしまった。
僕はあと数日で30代になる。
こんな日が現実に訪れるなんておそろしい。

いろいろと思うことがあるので、20代を振り返りながら近況や今後のことなどを雑多に書いていきたいと思う。

20代の振り返り

二十歳になった日からもう10年が経ったなんて信じられない。今でも憶えているけど二十歳になった時に僕は死にたいと思っていた。
とにかく昔から時間が過ぎていくことが嫌だった。

思えば10代の頃はほぼフルでニート状態の生活を送っており、20歳はちょうど専門学校に通いはじめた歳だ。
周囲の誰もがすぐに挫折するだろうと思っていた専門学校を無事に卒業し、プログラマとして就職した時はもう人生ゴールしたというかこのまま成仏してしまうのではないかという気持ちだった。

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その後、1年で最初の会社を辞め、もう正社員になりたくないという後ろ向きな理由でフリーランスになり、偶然最初の業務委託先になったR社でチーム開発やビジネススキルを学び、そして何よりエンジニアコミュニティという世界を知った。
当時のAndroid開発は課題も多かったけど刺激的な新機能や新技術なども多く、それらをキャッチアップしてブログを書いたりLTをしたりするだけで優秀なエンジニアになったような気持ちになれた。
実際、当時はまだずいぶん若かった事もあり、若いのに仕事が出来るといろいろな人に評価してもらい可愛がられ、無に近かった自己肯定感がゆっくりと育まれていった。

その後、2年以上居座ったR社を離れ、しばらく雑多な仕事を受けながらフラフラしたのち、AnyPayという会社で今はなきpaymoという決済アプリを手掛けるスタートアップを手伝うことになり、入る前は全く興味がなかったキャッシュレスの魅力にすっかりハマり社員になった。
ここではたくさんの優秀な人に出会い刺激を受けたり、ローンチ直後のアプリのグロースを考えたり、自分が主導で全面的な設計リファクタをしたりと学ぶことが多かった。

paymoのサ終が決まり退職したのち、うつ状態になってしまい半年ほど寝込んで動けない状態になってしまった。
もう社会復帰するのは無理かもしれないとも思った頃、縁あってM社に誘っていただき、時短勤務で業務委託としてM社で働くことになった。

M社であっという間の1年強ほどを過ごしたのち、数ヶ月休暇を取ったのち現在の職場にフルリモートで参画し今に至るという感じだ。

20代の自己評価

元々働き続けてるだけでも家族は泣いて喜んでいるほどの状態だったことを考えればよくやってきた10年間だったと思う。
エンジニアとして出来るだけ優秀になりたいと常に上昇指向でもがいてきたつもりだ。

しかし、もっとこうすればよかったと思うことも多々ある。
20代前半をAndroidにフルコミットしてきたのはよかったと思ってるけど、正直その後25,6くらいからはAndroidエンジニアとしての成長曲線は限りなく平に近づいていて、20代前半で学んだ知識を使って惰性で仕事をしてきてしまったなぁと思っている。
今考えるとAndroid以外をやるチャンスは何度かあったし、もっと早く新しいことに本気でチャレンジしていればよかったと感じる。

フリーランスという働き方も自分には合っていると思うし後悔はしていないけど、正社員にならないというのは「しがらみが嫌」「合わなかった時に辞めるのが申し訳ない」「フルタイムで働きたくない」「生活水準を下げたくない」などのどちらかというと消極的な理由で、もっと勇気をだして良い経験が積めそうな会社に入社する道を選んでもよかったかもしれないと最近は思う。

Androidエンジニアの仕事について

自分は新卒からずっとAndroidばかりをやってきたので経歴で言うと8年くらいになる。ただ、多くのことを学べたのは最初の3,4年くらいで、その後は毎年新しい情報をキャッチアップして市場価値を維持してきたに過ぎなかったかもしれない。
そして最近では正直モバイルでの開発環境に対して個人的にはそれほど特別なことをしなくても課題を特に感じていないし、むしろ昨今のモバイル界隈の流行りは本質的ではないオーバーエンジニアリングだと感じてしまい、簡単なものをあえて難しくして課題を生み出しているようにしか思えなくなってしまった。
また、Android自体もプラットフォームとして成熟期を迎え、バージョンごとのアップデートはセキュリティ強化やバッテリー消費の削減など開発者目線では実装を難しくするものが中心で、かつ公式から特に課題感を感じていない部分に対するUtilityメソッドのようなものが無限に生み出されていて、それらを全てキャッチアップするのは難しいし、使っているコードと使っていないコードが共存したり新しいメソッドの挙動でハマったりしていてむしろ負債を生んでいるという感じがある。

こんなことを感じてしまうのはもう自分が老害になってしまっているのではないかと思い不安になる。
ただもう積極的にAndroidの情報を追うような情熱もあまりないし界隈の流行りの設計思想はあまり好きになれないし、端的に言えばAndroid開発に飽きてしまっている。
そもそも記憶力のそんなによくない自分のAndroidに関する知識なんて、頭のいい新卒が半年から1年くらいがっつり取り組めば簡単に追いつけるどころか最新の情報を学ぶ分だけ優れているくらいだろう。

そして、モバイルエンジニアというスキルがなかなかに袋小路であることに最近気づいてしまった。
もちろんクライアントサイドの開発経験は今後あたらしいデバイスやOSなどが登場した時にも活かせるだろうとは思うけど、しかしやはりソフトウェア開発の中心はサーバーサイドにあり、モバイルの詳細があまり分からないCTOというのはありふれていても、バックエンドやインフラの状況が理解出来ないCTOというのは多分成り立たないだろうと最近思った。

そんなわけで少し遅いとは思いつつ、最近はバックエンドの勉強をしていて、業務でもバックエンド開発をやらせてもらっている。
正直ここでバックエンドをある程度自分のスキルとして吸収できるかどうかで今後のキャリアが決まるといっても過言ではないと思っている。
バックエンドの実装が出来ることがゴールというよりは、インフラや機械学習、データ基盤などいろいろなスキルがバックエンドの知識がベースになっていると思っているからだ。

加齢による変化について

世間では中年に近づくと次第にやりたいことがなくなってきて独り身だと辛くなってくるという話も聞くが、自分の場合は今の所まったくそんなことはなく、年々やりたいことは増えていく一方だ。
仕事でやりたいこと、勉強したいこと、趣味でやりたい創作活動、読みたい本ややりたいゲームなど、とにかく今の世の中は果てしなく出来ることがある。
興味の幅や知識も年々増えていくのでますますやりたいことは増える。

しかし一方で身体には早くも衰えをかなり感じている。
正直年齢によるものなのか抗不安剤などの薬の副作用なのかもよく分からないが、この数年で著しく集中力や思考能力が衰えたと感じる。一時期うつ状態になっていた後遺症もあるのかもしれない。
以前はもっと仕事が早かったはずなのだけれど、最近は自分の仕事の処理能力の遅さにショックを受ける。
代謝が著しく落ち生活が変わらないのに激太りし、睡眠時間が増え寝落ちや寝坊が増えた。
記憶力もヤバく、お世話になった人でも数ヶ月で名前が出てこなくなるし、好きだったアニメやゲームのキャラや容姿もすぐに思い出せなくなった。

よくエンジニアは単純なコーディングスキル(思考能力)では若手に勝てなくなっていくので、その分経験や設計知識、ヒューマンスキルなどでバリューを出すという話を聞くが、正直それらの能力も年齢とともに衰えているのではとすら感じる。
同じ職場に長くいればドメイン知識という面で大きなアドバンテージが生まれるが、フリーランスで頻繁に仕事先を変える自分は何もしなければひたすらエンジニアとしての能力が衰える一方なのだ。
だからこそもっと色々なことに挑戦してたくさん学び続けないといけないと感じている。

今後の展望

正直よくわからない。
最近、停滞感を感じることが多く焦りがある。
自分が成長出来ているのか自信がない。

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色々なことに取り組んではいるもののどれも成果が出るにはまだまだといった感じだ。
やりたいことはたくさんある。これは救いかもしれない。いつまでもやりたいことがたくさんある人生でありたい。
いつまでも上ばかり見ているから疲れるんだと思う人もいるかもしれないけど、自分はまだまだ夢見がちでいたい。

月日の体感速度がどんどん早くなっているのは恐ろしい。今ではちょっと油断するとほとんど何もしないうちに半年や1年が過ぎていってしまう。
気を抜かず日々を丁寧に生きていきたい。
数年後には「あの頃はちょうど停滞期でいろいろ悩んでいたな」と笑って振り返れるように頑張りたい。

追記

エントリへのいろいろな反応コメントなどを眺めていて、自分が感じてるキャリアへの不安は「将来食っていけるかへの不安」ではなくて「今後これ以上面白い仕事が出来る選択肢がなくなることへの不安」なのだと気づいた。